2010年のM&A動向から見た2011年以降の日本産業構造の変化

2010年のM&A動向分析から、2011年以降の日本産業構造の変化を占ってみる。 アジアを中心に海外企業の買収が加速する一方で、中国企業による日本企業買収も目立った2010年2010年の日本企業が当事者となったM&Aは、円高の積極活用や財務体質改善による豊富…

 2011年の課題 〜上海からのメッセージを踏まえて

明けましておめでとうございます。 三が日は、中日の2日に深川の富岡八幡宮に初詣に行ってきました。おみくじは小吉。 運勢は冬来たりなば春遠からじ、ようやく開運のきざし見え始めたり。方針、地盤を作れ。希望、七分まで叶う。まさに今の日本経済の新年…

グローバル化維新 〜尊王攘夷から勤皇開国へ

失われた20年を改めて実感した2010年 またまた、久々のブログ執筆になる。経済の停滞トレンドから脱せないまま2010年が終わろうとしている。GDPで中国に追い越されて世界第3位に転落した2010年の日本経済の立ち位置を整理しておこうと思う。 内閣府が12月9日…

最近、日本経済を第三の道へ向かせようという力を感じるが着火の兆しなし

国家資本主義の足音 またまた久々のブログ更新になってしまった。8月16日付の日経新聞の1面で「官民ファンド創設へ。政府、インフラ投資促進」という記事が踊っていた。官主導で経済資源の最適配分を進めようとする国家資本主義の匂いが途上国ではない成熟国の…

iPadの衝撃よりも日本でなぜiPadが作れなかったかの衝撃?

5月28日に日本でもiPadが発売された。2008年7月11日にiPhoneが発売されてから2年弱。iPadの登場は、iPhoneの顧客資産を引き継いだタブレットPCベースで、新たなグローバルICTビジネスルールを更に変革させる第2段ロケットが発射された瞬間だったと私はみて…

脱ガラパゴス戦略と逆転のグローバル戦略

色々忙しくて、久しぶりのブログのアップになってしまった。5月28日にiPadが発売され、生活者目線から見たクラウド的サービスでは、紙の書籍、レンタルビデオ、アクトビラ(NHKオンデマンド)などが不要になる予感を高めるものになった。こうしたパラダイムシ…

アジアの時代 〜オープン型モノ作りが市場を制する

3月29日付日経ビジネスで「社外秘をなくせ〜オープン型モノ作りが世界を制する」と題した特集があった。その中でエアコン事業を行うダイキン工業が、中核技術を一定条件付きで中国エアコンメーカー・珠海格力電器(広東省)に供与して中国市場のシェア拡大し…

アジアの時代 〜これからの若者の仕事

週末に、珍しく大学の同級生と地元で夕食を共にして飲んだ。 彼は、某エレクトロニクス系メーカーでアジアを中心とした海外営業で中国、台湾、シンガポールなどを飛び歩くアジア通。 その彼と話をしていて、ここ10年間で、シンガポールや香港、上海のバーな…

完全網羅 起業成功マニュアル 〜by ガイ・カワサキ氏

「完全網羅、起業家マニュアル」の著者、ガイ・カワサキ氏は、アップルコンピューターの草創期のエバンジェリストをした後、シリコンバレーで様々なPC企業をたちあげ、のちに、ベンチャーキャピタル「ガレージ・テクノロジー・ベンチャーズ」のCEOを務めてい…

〜富士山展望・・・・春霞みの中に消える前に写真に収めておこう

3月に入ったが未だ寒い。 我が家から見える富士山も未だ冬の富士山の顔をしている。 これから三寒四温を経て、だんだん富士山は春霞みの中へ消えてゆく。霞みの中に消えて行く前に、写真に収めておこう。 朝の富士山。きりりと締まっている。 夕方の富士山…

起業を増やさナイト〜実践的起業セミナー報告

2月24日の18:00から、会計士の磯崎哲也氏、運用会社レオスキャピタルワークスの藤野英人氏、VC日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝氏の3名による起業セミナー「起業を増やさナイト」が開催された。 生々しい成功・失敗・オフレコ体験談…

総務省スマートクラウド研究会中間報告案を読んで思うこと 〜独自のクラウド技術開発支援の対象が示された点に注目

2月10日、総務省からスマート・クラウド研究会の中間とりまとめ案が発表された。概要の紹介を含めて全体の印象と注目点をざっとまとめてみる。(3月9日まで意見募集中。ツイッター政策議論のハッシュタグは #scloud ) ここ2年間くらい日本国内でも様々な…

ベンチャー起業家精神、ベンチャー支援に思うこと

一昨年あたりから、国内ベンチャーに逆風が吹いている。国内の年間のIPO件数は、暦年ベースで2006年の188件を最近のピークに2007年121件、2008年49件、2009年19件と激減している。一方で、海外に目を向けると中国の香港・上海・深センの3市場での2009年のIP…

逆転のグローバル戦略 〜ローエンドから攻めあがれ

今年初めの1月2日付のエントリーで、2010年は日本のGDPが中国に抜かれて世界第3位に転落する大きな転機を迎えるなど、日本企業を取り囲むグローバルな競争ルールは一変していると述べた。その中で、日本企業は、贅肉を落とした縮小均衡と新たな成長という一…

新陳代謝を促せ!〜新産業育成とベンチャーキャピタル充実の必要性

新陳代謝を促せ! 新陳代謝を促せ。1月11日の日経新聞1面のコラム「ニッポン復活の10年」の伊藤元重東大教授の論評だ。日本国内は1992年頃からほぼ一貫して供給過剰で需要が足らない状況が続いている。これだけ長期間にわたって続いているデフレを解消するに…

 2010年のICTトレンド

このブログを書き始めた一昨年の夏の2008年8月16日のエントリーで、私は10年後のICT社会インフラのキーワードは、Wikiとクラウド・コンピューティングとメタバースではないかと書いた。2010年代の10年間のIT業界の見通しについてシリコンバレー在住の海部美…

2010年の日本経済と民主党政権の新成長戦略を考える

明けましておめでとうございます! 今日は、小江戸・川越へ七福神廻りををかねて初詣に出かけ、川越大師・喜多院で参拝してきました。 おみくじを引くと、吉。 久しく曇っていた空もようやく晴れ渡り、すっきりする。 心配事もなくなり、願望、後になって叶…

クリス・アンダーソン著「フリー」の注目点と2009年の回顧

2009年の回顧 ここ1ヶ月近くブログを更新しないまま、2009年末を迎えてしまった。このブログでは2008年7月のiPhone登場を切っ掛けに基本的にクラウド時代のICTを中心としたビジネスモデルのあり方をテーマとしてきたつもりだが、1年を振り返って見ると、プ…

事業仕訳にみる次世代スパコン・プロジェクトの在り方

11月27日で事業仕訳調査が終了したが、その中でIT関係で様々な議論を巻き起こしたのが次世代スパコン開発の2010年度予算248億円(2006年度〜12年度の7年累計で1230億円)の税金投入の是非についてであった。結論は予算計上の見送りに限りなく近い縮減との方…

閑話休題:チベット紀行回想(2006年9月、青蔵鉄道でのラサ訪問の写真を整理)

既に3年前になるが2006年9月、中国青海省とチベット・ラサ市を結ぶ全長2000キロの青蔵鉄道が2006年7月に開通した直後、青蔵鉄道でラサを訪問した時の写真を整理してみた。 思えば、標高5000メートルのクンルン山脈の峠を越えて、標高4000メートルのチベット…

第二のIT革命が始まった 〜スマートグリッド革命の始まり

欧米中心にスマートグリッドのへの取り組みが活発化している。10月25日のNHKスペシャル「自動車革命」では、Googleが太陽光パネルと家庭内と電気自動車のバッテリーをつなぎ、最適な電力供給の一元管理を進めようとしている取り組みが紹介され、新鮮な印象を…

 Androidの現状 〜DOS/V登場前夜に似てきたようだ 

昨日、林信行さんが主宰する六本木アカデミーヒルズのメンバーコミュニティ、iPhone/Androidトレンド研究に参加してきた。同じ勉強会に参加していたINOCCUさんこと井上研一さんが、さっそくブログにまとめていたので引用させてもらいながら、印象を書いてみ…

新たな黎明期を迎えた携帯電話業界

「湯川鶴章のIT潮流」で、ケータイ3社の戦略鮮明に−僕はソフトバンクに一票、というエントリがあった。その発端は、11月10日のソフトバンクモバイルとNTTドコモの冬・春モデルの携帯電話新機種発表で、孫社長が「Wi-Fiが答えだ」、山田社長が「Wi-Fiより3G…

技術力で勝る日本がなぜ事業で負けるのか?オープンイノベーションモデルを考える

以前に、ここのブログで紹介した妹尾賢一郎氏が書いた「技術力で勝る日本がなぜ事業で負けるのか」をもう一度読み下したので、概要をメモしておこうと思う。8月11日付のブログでMOTの視点から見たプロダクトイノベーションを実現するためのキャズム(死の谷…

究極のオープン・イノベーションモデルと言えるOSS需要がクラウドの爆発で喚起される

日本のゼネコン型情報サービス産業にOSS需要が風穴を開けるか? 市場規模20兆円、就労者85万人、GDPの3%強を占める日本の情報サービス産業は、垂直型多重下請け構造から水平分業・分散型への構造転換の兆しが出てきた。日本郵政やエコポイント・システムで…

閑話休題 秋は過ぎ行く〜 雲取山紀行

9月に登った雲取山は秋に入っていたが、すでに自宅の周りも秋から冬。 本格的な冬にならないうちに雲取山を写真をいくつか掲載しておこう。 (三峰神社登山口)秩父〜雲取へ (雲取山荘)三峰神社から6時間弱 (雲取山荘からのご来光)これから好いことが…

オープン・イノベーションが日本企業にとって重要な理由

2009年8月7日のブログ「オープン・イノベーションへの警告」で、私は池田信夫氏の8月7日付のブログでのコメント「オープン・イノベーション化という言葉が最近、バズワード化している」を受けて、私もその通りだと思うと書いた。 この時、私自身オープン・…

グローバルな投資視点の欠如が競争力の差異になっているのではないか??

競争力の差異として、技術力よりも経営力の差異が明らかになった事例がここのところ散見されたのでメモとして記録しておこうと思う。 先週にかけて7〜9月期の決算が上場各社から発表された。4〜6月期に比べれば黒字化しており、経営者もコスト削減が進み…

社会主義化するアメリカ 〜社会主義へ過度に反動化するように見える日本は?

春山昇華氏が書いた「社会主義化するアメリカ」を読んだ。リーマンショック後様変わりした世界経済の先導の主役、その中で埋没する日本のポジションの立ち位置を金融資本市場の視点から捉えなおしておくには参考になる本だと思う。米国経済を代表する自動車…

Morgan StanleyのネットアナリストMary Meeker 氏のネットトレンドレポート、余り新鮮味はない

10月20日にサンフランシスコで開催されたWeb2.0 SummitでのMorgan Stanleyの有力ネットアナリストMary Meeker氏のネットトレンドレポートを見た。8つのキーテーマとして下記が挙げられており、日本のモバイル業界も参考にすればとあるが、新鮮味が感じられな…