iPhoneのビジネスモデルと既存業界へのインパクト
iPhoneのビジネスモデルと既存の通信事業者や端末メーカーへのインパクトについて簡単に整理してみることにした。
7月11日に世界一斉発売されたiPhone3Gは、年内に世界で1000万台販売できると見られているけれども、世界の携帯端末市場1.4億台に対しては1%も満たない規模。やはり普及したとしても音楽ファンなど尖ったユーザー層を取り込むニッチ端末の域を出ないのだろう。
でも、iPhoneのビジネスモデルで最も注目すべきことは、アプリケーションソフト開発キット(SKD)「AppStore」を公開し、その使用料金をアプリケーション開発者から徴収する点。
AppStoreは、今後半年以内に登場し、iPhoneよりもマグニチュードが大きいと言われるGoogleフォンのアプリケーション開発プラットフォームAndroid(Googleが昨年11月に公開)と似ている。
Googleフォンが販売された暁にはAndroidで制作されたコンテンツに対して使用料金が課金されるような有料プラットフォーム化がひょっとすると起こるかも知れないと思い、整理してみた。
《iPhoneのビジネスモデル −5つのポイント》
1.不要コストを徹底的に削る
⇒端末メーカーにとって従来の一気通貫型の開発が難しくなる?
2.グローバル展開で投資を回収する
⇒グローバルリーチを持つ端末メーカーと端末のあり方が求められる?
- 最初から世界市場を見据えた製品開発と販売戦略
- 製造最終工程で出荷する国毎にファームウェアだけを帰ればよい製品設計
3.勝てる市場でしか戦わない
⇒横並びのモバイルキャリア市場に風穴?
- 国毎に1つのキャリアと独占契約(iPhone2G。3Gでは複数契約も?)
- iPodビジネスが成功して進出基盤が整った市場だけを攻略
4.製品を売った後も儲ける
⇒従来型のキャリアブランドでのビジネスモデルに風穴?
- iPhone3Gでは、通信キャリアに地域独占販売権と上納金(利益の約20〜30%)を課す2Gまでの従来モデルから販売奨励金モデルに転換。海外ではメーカー直販とキャリア経由販売が並立
(因みに米iSuppli社調べによるとAppleはキャリアへの販売価格500ドルに対して原価約173ドルと分析)
- iPhoneでは定期的にファームウェアをアップデートし、ユーザーにとっての新規機能を追加
- アプリケーションソフト開発キット(SKD)「AppStore」を公開し、これを利用するアプリケーション開発会社から製品・サービス販売価格の30%をAppleが受け取る仕組みをビルトイン。
5.音楽著作権ビジネスの囲い込み
⇒コンテンツの囲い込みをうまく利用したマーケティングモデルが必要?
- iTuneストアでの楽曲販売を手ごろ感のある1曲99セントまで引き下げ、音楽CDへのコピー回数に制限を設けず、一方でiTuneストアで購入した楽曲はiPhoneやiPodでしか視聴できないようにすることで、顧客を増加・リテイン。
- ソニーはこうしたユーザーニーズオリエンテッドな音楽著作権囲い込みモデルが構築できなかったためにiPhoneのような製品のリリースができなかった。
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