IT技術評論

iPadの衝撃よりも日本でなぜiPadが作れなかったかの衝撃?

5月28日に日本でもiPadが発売された。2008年7月11日にiPhoneが発売されてから2年弱。iPadの登場は、iPhoneの顧客資産を引き継いだタブレットPCベースで、新たなグローバルICTビジネスルールを更に変革させる第2段ロケットが発射された瞬間だったと私はみて…

アジアの時代 〜オープン型モノ作りが市場を制する

3月29日付日経ビジネスで「社外秘をなくせ〜オープン型モノ作りが世界を制する」と題した特集があった。その中でエアコン事業を行うダイキン工業が、中核技術を一定条件付きで中国エアコンメーカー・珠海格力電器(広東省)に供与して中国市場のシェア拡大し…

総務省スマートクラウド研究会中間報告案を読んで思うこと 〜独自のクラウド技術開発支援の対象が示された点に注目

2月10日、総務省からスマート・クラウド研究会の中間とりまとめ案が発表された。概要の紹介を含めて全体の印象と注目点をざっとまとめてみる。(3月9日まで意見募集中。ツイッター政策議論のハッシュタグは #scloud ) ここ2年間くらい日本国内でも様々な…

 2010年のICTトレンド

このブログを書き始めた一昨年の夏の2008年8月16日のエントリーで、私は10年後のICT社会インフラのキーワードは、Wikiとクラウド・コンピューティングとメタバースではないかと書いた。2010年代の10年間のIT業界の見通しについてシリコンバレー在住の海部美…

事業仕訳にみる次世代スパコン・プロジェクトの在り方

11月27日で事業仕訳調査が終了したが、その中でIT関係で様々な議論を巻き起こしたのが次世代スパコン開発の2010年度予算248億円(2006年度〜12年度の7年累計で1230億円)の税金投入の是非についてであった。結論は予算計上の見送りに限りなく近い縮減との方…

第二のIT革命が始まった 〜スマートグリッド革命の始まり

欧米中心にスマートグリッドのへの取り組みが活発化している。10月25日のNHKスペシャル「自動車革命」では、Googleが太陽光パネルと家庭内と電気自動車のバッテリーをつなぎ、最適な電力供給の一元管理を進めようとしている取り組みが紹介され、新鮮な印象を…

 Androidの現状 〜DOS/V登場前夜に似てきたようだ 

昨日、林信行さんが主宰する六本木アカデミーヒルズのメンバーコミュニティ、iPhone/Androidトレンド研究に参加してきた。同じ勉強会に参加していたINOCCUさんこと井上研一さんが、さっそくブログにまとめていたので引用させてもらいながら、印象を書いてみ…

新たな黎明期を迎えた携帯電話業界

「湯川鶴章のIT潮流」で、ケータイ3社の戦略鮮明に−僕はソフトバンクに一票、というエントリがあった。その発端は、11月10日のソフトバンクモバイルとNTTドコモの冬・春モデルの携帯電話新機種発表で、孫社長が「Wi-Fiが答えだ」、山田社長が「Wi-Fiより3G…

究極のオープン・イノベーションモデルと言えるOSS需要がクラウドの爆発で喚起される

日本のゼネコン型情報サービス産業にOSS需要が風穴を開けるか? 市場規模20兆円、就労者85万人、GDPの3%強を占める日本の情報サービス産業は、垂直型多重下請け構造から水平分業・分散型への構造転換の兆しが出てきた。日本郵政やエコポイント・システムで…

オープン・イノベーションが日本企業にとって重要な理由

2009年8月7日のブログ「オープン・イノベーションへの警告」で、私は池田信夫氏の8月7日付のブログでのコメント「オープン・イノベーション化という言葉が最近、バズワード化している」を受けて、私もその通りだと思うと書いた。 この時、私自身オープン・…

政権交代後の情報通信政策の行方 〜変化する解決すべき本質的課題

総務省は6月にICTビジョン懇談会報告書をまとめ、2015年に向けてのスマート・ユビキタス戦略を打ち出している。具体的な施策として次の5つの施策を掲げて旧政権下で取組みを開始してきた。旧・郵政省時代からの規制政策の立案からICT産業全般の国際競争力…

WISH2009の感想とWISH2010に向けての要望

21日金曜日の晩、WISH2009というITベンチャーのビジネスアイデア発表のイベントが九段下であり参加してきた。 少し色々思うところがあったので、感想をまとめておく。 WISH2009は、ウェブの未来に焦点を当てているが、通信・コンピューティング・従来型の製…

間違ったベンチャー企業支援 〜官製VCと技術ベンチャー育成が機能しない理由

この8月中には、官製ベンチャーキャピタル「株式会社産業革新機構」が設立され本格稼動するという。これは、2006年の4月に国会で承認された改正産業再生法の中に盛り込まれた施策のひとつで、政府出資により設立され、経済産業省がロードマップおよびスキー…

オープンソース化は市場を取るための一戦略手段に過ぎず、自己の技術のデファクト化のための手段

去年の8月来、クラウドコンピューティング化の動きに伴うオープンソース化やガラパゴス化する日本製造業のソフトウェア化はイノベーションの活性化をもたらすのではないかという文脈でのブログを書いてきた。が5月末以来暫く筆を止めていた。 暫くこのブロ…

Android携帯発売の意義 〜経験価値経済への移行のカンフル剤になるか?

2009年5月19日、GoogleのAndroid携帯電話がNTTドコモから日本で発売されると発表された。 私が、10年先のICT産業の姿を追いかけようとして2008年8月1日にこのブログを書き始めた切っ掛けは、2008年7月11日のiPhoneの発売だった。その8ヶ月前の2007年11月にG…

ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える(その2)

3月20日付けのエントリー「ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える」で、2020年頃には、オープンソース化したハードウェアや開発支援ツールが製品開発のエンジンとなり、数台単位の超小ロット生産やユーザーの手元で作るパーソナルファブリケーシ…

ウェブを変える10の破壊的トレンド

創造的破壊、私が好きな言葉だ。この言葉について久々に頭の中を覚醒してくれた本が渡辺弘美著「ウェブを変える10の破壊的トレンド」。既に概略は知っていることが多かったが、押さえておくべき先端技術トレンドを気持ちを高ぶらせながら頭の中に整理してく…

日本の電子情報産業のガラパゴス化からの脱皮を考える(その2)

昨日のエントリーで新興国対応とソフトウェア化への対応が日本経済の構造的な課題だと書いた。クラウド・コンピューティングの進展はグローバル・ネットワーク経済化とシステムのオープン化を急速に促す。こうした中でガラパゴス化してしまった日本の電子情…

App Storeのダウンロード数が10億件に達した

Apple社は、4月24日で、iPhone/iPod touch用アプリケーションを配布・販売するサイトApp Storeからのダウンロード本数が10億本に達したことを発表した。App Storeは、2008年7月の「iPhone 3G」発売と同時に開設されていることから、9カ月でアプリケーション…

ベンチャー事業成功の条件 〜起業の条件を考える

経済の活力の源は、個々の企業家の創造性とバタリティだと思う。大企業は知らず知らずのうちにコングロマリット・ディスカウントに陥っていて、社内調整に莫大なエレルギーを取られてしまう。そのためバイタリティがそぎ落とされたり、何が創造性の原点なの…

セカイカメラが作り出すビジネスフロンティア

AR(拡張現実)を実用化レベルまで進めた意義 少し情報としては古くなるけども、頓知・(Tonchidot)が開発した「セカイカメラ」は、AR(拡張現実:augmented reality)を実用化レベルまで進めたということ以上に、カメラと携帯の境目をなくし、携帯端末だけ…

オープンソースのAPI公開が知的創造とITベンチャーの活性化を促している

イネブラー型ベンチャーの活発なオープンソース化の動き OpenPNEという株式会社手嶋屋がオープンソース方式で開発を行ってきたSNSエンジンをご存知だろうか。OpenPNE はPCとモバイルのハイブリッドなプラットフォームに、豊富なSNS機能を搭載し、多様なサー…

デジタルとアナログの対話 〜デジタルネイティブが求めるもの

今回は、これまでのエントリー内や別途メールで読者の方々から新たに提供していただいた情報やコメントを整理してインプリケーションをまとめてみようと思う。特にfutureeyeさんからは有益な情報提供やコメントをいただき感謝したい。こういう情報連携ができ…

ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える

3月23日付の日経エレクトロニクスで「ユーザー参加の開発が大量生産ビジネスに変革を迫る」という特集が気になったので思うところを書いてみる。ガラパゴス化する製造業を脱するためには、今後、企画、開発、製造のすべての段階でオープンな環境の構築が不可…

ネットにおけるブランディングを考える 〜ネット広告放送の普及を展望して

インターネットのブランド広告ネットワークのグラムメディア社の今後の成長に期待が高まっている。3月10日に、インターネット広告での世界最大の女性向け広告メディア・ネットワークの米国グラムメディアの日本法人・グラムメディア・ジャパンが動画広告サ…

 P2P(Peer to Peer)型ネットワークについて考えてみた

かつてWinnyなど違法なファイル交換ソフトのゲリラ的な流布により社会的問題化したP2Pネットワーク技術が、セキュアな完成度の高いネットワーク技術に進化して再び注目を集めている。 ネットから簡単にダウンロードできる無料のP2Pソフト「KeyHoleTV」を使っ…

ソニーのグループ事業再編発表と旧態依然としたマスコミ論調

ソニーは2009年2月27日、4月1日付でハワード・ストリンガー会長兼CEOが社長を兼務するとともに(中鉢社長は退任し2頭体制に終止符)、電機部門を大きくコンスーマー・プロダクツ・グループ(テレビ、デジタルカメラ)とネットワーク・プロダクツ&サービス…

2020年の広告市場の姿 〜2008年日本の広告費のトレンドから予想する

2月23日、電通より2008年の日本の広告費の統計が発表された。サブプライム危機による年後半の急速な景気悪化で、総広告費は6兆6926億円と前年比▲4.7%の減少になったと言う。 媒体別では、テレビ広告費が1兆9092億円で前年比▲4.4%減少(対総広告費シェアは2…

日本の電子情報産業のガラパゴス化からの脱皮を考えてみる。

これまで、クラウドコンピューティングをテーマに10年後のICT社会を予想することをコンセプトに色々書いてきたが、何故、こうしたテーマに拘ってきたか深い理由がある。これまで日本の技術的な強みが活かされてきた電子情報産業が、Googleに代表される米国発…

Googleを超えるWeb3.0技術 〜人工知能を持ったSemantic Webの世界

2008年8月16日のエントリーで、10年後のIT社会インフラのキーワードは、Wikiとクラウド・コンピューティング、メタバース、メタデータではないか、そして、メタデータが10年後の電子空間の中で浮遊するコンテンツやオブジェクトを有機的に(=意味的に)繋…