クラウドコンピューティングが10年後のITインフラのデファクト環境か?

murakyut2008-08-10

次の10年のIT・情報通信・メディア産業を支えるITインフラ技術として見逃せないのがクラウドコンピューティングだ。

クラウド(雲)とはインターネットのことを指し、企業ユーザーや個人生活者は、特定のサーバやソフトウェア資源を利用するのではなく、雲の向こうにあるデータセンターに集約されたサーバやデータベースから、最適なコンピューターリソースやコンテンツを必要に応じて利用できる技術を言う。クラウド・コンピューティングとは、米Googleエリック・シュミット会長が提唱した言葉だ。Web2.0という言葉と基本的には同じで、収益を生むプラットフォームがBtoC、BtoBに限らずOSからWebにパラダイムシフトすることが大きな特徴。

クラウド」という言葉の響きは、まさに雲に掴むような何が何だかよく分からない星雲の中で、何かビックバンが起きているような感覚を匂わせる。
ただ、光ファイバーや携帯網におけるHSDPAの普及などブロードバンド環境の整備、サーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化技術の進歩、省電力型のサーバやルータの普及などハードウェアの省電力化、ストレージの大容量化と低価格化、パソコン端末の低価格化、iPhoneAndroidなどインターネットマシーンやミドルウェアの登場など、クラウドコンピューティングを実現させる環境は着実に整いつつある。

クラウド・コンピューティングを支える2つの技術
1つは、ハードウェア面で、拡張性や柔軟性を高める仮想化技術の高度化。
2つ目は、ソフトウェア面で、Webアプリケーションの台頭に代表される広域アプリケーションの開発。

1.仮想化技術の高度化
大量の計算処理を要する多種多様な情報をさばくためには、サーバにおけるプロセッサ(CPU)、メモリ、ディスクなどの各資源を、その物理的な構成に拘わらず、柔軟に分割・統合するソフトウェア技術である仮想化技術の高度化が重要になる。
これまで、電力消費量の省力化の観点から、冷却システムや電源マネジメントがコスト削減の観点から注目されてきたが、今後は、省エネ技術に加えて、巨大なサーバーやストレージ、ネットワークを適切なサイズに切り分け、バーチャル・サーバとして利用する仮想化技術が、データセンターのコストダウンと運用の柔軟性を高める技術・ノウハウとして一層重要になるものと考えられる。
仮想化の具体的な手法としては、1台のコンピューター上で複数のOSを稼働させるための技術や複数のコンピューターを1つのハードウエアであるかのように見せる技術が挙げられる。
前者の技術は、異なるシステム環境を必要とする複数のアプリケーションを使う際に、システム環境ごとにコンピューターを用意せずに、システム性能が許す限り、1台のコンピューターで複数アプリケーションを運用しまう技術である。
この場合、ホストとなるOSの上で仮想マシンを実現するソフトが稼働し、そのうえでゲストとなるOSが起動する方式や、汎用のOSを使わずに仮想マシン環境を実現する専用ソフトがハードウエア上で直接稼働することで、複数のOSを起動可能にする方式などがある。
こうしたマルチタクス処理が効率的にできるデータセンターの高度化が重要なテーマになってくる。


2.アプリケーション・ソフトウェア面での注目点
ここでは、BtoB、BtoCともにマルチOSのアプリケーション開発プラットフォームやアプリケーションソフト開発キット(SKD)を広く潜在アプリケーション開発者に公開することが、ビジネス収益モデルのカギになりそうだ。

BtoBでの代表的なアプリケーション・プラットフォームはPaaS
今のところ、こうしたBtoBでの代表的なアプリケーション・プラットフォームはSalesForce.comが売上を伸ばしてるSaaS(Software as a Service)の発展系のPaaS(Platform as a Service)だろう。
現在は、SalesForce.comがCRMソフトを提供しながら、徐々にPaaSの方に舵を切ろうとしているが、GoogleOracleなども同様な方向性を目指していると見られる。
http://www.ariel-networks.com/blogs/tokuriki/cat36/cat37/salesforce_saas.html

PaaSは、マルチテナント型の複数のシステム・ソフトウェアをインターネット経由でユーザーに提供するにあたって、個々に提供されるアプリケーションを統合・開発できる首根っこのミドルウェア・プラットフォームを抑えて収益源を確保して行こうとするものだ。

BtoCでの代表的なアプリケーション・プラットフォームはAppStoreやAndroid
次に、BtoCでの代表的なアプリケーション・プラットフォームは、前回の日記で書いたAppleが公開するAppStore、Googleが公開するAndroidだろう。

アプリケーションとしては、今後、YouTubeニコニコ動画などの動画共有サイトFlickerPicasaなどの写真共有サイト、SkypeWindowsメッセンジャーなどの電話ソフト、Google Mapなどの地図情報サービス、GmailmixiなどのWebメールSNSなどWeb2.0系のものが次世代の携帯端末など向けに提供されてゆくのだろう。


今のところ、こうしたクラウドコンピューティング技術が10年後のITインフラとなって様々な新しいネットワーク型アプリケーションが充実していくのではないかと思われる。
とりあえず、足許の将来環境認識のベースとして整理してみた。
新しい動きとともに軌道修正していけばいい・・・

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