2009-01-01から1年間の記事一覧

クリス・アンダーソン著「フリー」の注目点と2009年の回顧

2009年の回顧 ここ1ヶ月近くブログを更新しないまま、2009年末を迎えてしまった。このブログでは2008年7月のiPhone登場を切っ掛けに基本的にクラウド時代のICTを中心としたビジネスモデルのあり方をテーマとしてきたつもりだが、1年を振り返って見ると、プ…

事業仕訳にみる次世代スパコン・プロジェクトの在り方

11月27日で事業仕訳調査が終了したが、その中でIT関係で様々な議論を巻き起こしたのが次世代スパコン開発の2010年度予算248億円(2006年度〜12年度の7年累計で1230億円)の税金投入の是非についてであった。結論は予算計上の見送りに限りなく近い縮減との方…

閑話休題:チベット紀行回想(2006年9月、青蔵鉄道でのラサ訪問の写真を整理)

既に3年前になるが2006年9月、中国青海省とチベット・ラサ市を結ぶ全長2000キロの青蔵鉄道が2006年7月に開通した直後、青蔵鉄道でラサを訪問した時の写真を整理してみた。 思えば、標高5000メートルのクンルン山脈の峠を越えて、標高4000メートルのチベット…

第二のIT革命が始まった 〜スマートグリッド革命の始まり

欧米中心にスマートグリッドのへの取り組みが活発化している。10月25日のNHKスペシャル「自動車革命」では、Googleが太陽光パネルと家庭内と電気自動車のバッテリーをつなぎ、最適な電力供給の一元管理を進めようとしている取り組みが紹介され、新鮮な印象を…

 Androidの現状 〜DOS/V登場前夜に似てきたようだ 

昨日、林信行さんが主宰する六本木アカデミーヒルズのメンバーコミュニティ、iPhone/Androidトレンド研究に参加してきた。同じ勉強会に参加していたINOCCUさんこと井上研一さんが、さっそくブログにまとめていたので引用させてもらいながら、印象を書いてみ…

新たな黎明期を迎えた携帯電話業界

「湯川鶴章のIT潮流」で、ケータイ3社の戦略鮮明に−僕はソフトバンクに一票、というエントリがあった。その発端は、11月10日のソフトバンクモバイルとNTTドコモの冬・春モデルの携帯電話新機種発表で、孫社長が「Wi-Fiが答えだ」、山田社長が「Wi-Fiより3G…

技術力で勝る日本がなぜ事業で負けるのか?オープンイノベーションモデルを考える

以前に、ここのブログで紹介した妹尾賢一郎氏が書いた「技術力で勝る日本がなぜ事業で負けるのか」をもう一度読み下したので、概要をメモしておこうと思う。8月11日付のブログでMOTの視点から見たプロダクトイノベーションを実現するためのキャズム(死の谷…

究極のオープン・イノベーションモデルと言えるOSS需要がクラウドの爆発で喚起される

日本のゼネコン型情報サービス産業にOSS需要が風穴を開けるか? 市場規模20兆円、就労者85万人、GDPの3%強を占める日本の情報サービス産業は、垂直型多重下請け構造から水平分業・分散型への構造転換の兆しが出てきた。日本郵政やエコポイント・システムで…

閑話休題 秋は過ぎ行く〜 雲取山紀行

9月に登った雲取山は秋に入っていたが、すでに自宅の周りも秋から冬。 本格的な冬にならないうちに雲取山を写真をいくつか掲載しておこう。 (三峰神社登山口)秩父〜雲取へ (雲取山荘)三峰神社から6時間弱 (雲取山荘からのご来光)これから好いことが…

オープン・イノベーションが日本企業にとって重要な理由

2009年8月7日のブログ「オープン・イノベーションへの警告」で、私は池田信夫氏の8月7日付のブログでのコメント「オープン・イノベーション化という言葉が最近、バズワード化している」を受けて、私もその通りだと思うと書いた。 この時、私自身オープン・…

グローバルな投資視点の欠如が競争力の差異になっているのではないか??

競争力の差異として、技術力よりも経営力の差異が明らかになった事例がここのところ散見されたのでメモとして記録しておこうと思う。 先週にかけて7〜9月期の決算が上場各社から発表された。4〜6月期に比べれば黒字化しており、経営者もコスト削減が進み…

社会主義化するアメリカ 〜社会主義へ過度に反動化するように見える日本は?

春山昇華氏が書いた「社会主義化するアメリカ」を読んだ。リーマンショック後様変わりした世界経済の先導の主役、その中で埋没する日本のポジションの立ち位置を金融資本市場の視点から捉えなおしておくには参考になる本だと思う。米国経済を代表する自動車…

Morgan StanleyのネットアナリストMary Meeker 氏のネットトレンドレポート、余り新鮮味はない

10月20日にサンフランシスコで開催されたWeb2.0 SummitでのMorgan Stanleyの有力ネットアナリストMary Meeker氏のネットトレンドレポートを見た。8つのキーテーマとして下記が挙げられており、日本のモバイル業界も参考にすればとあるが、新鮮味が感じられな…

Googleも消滅する2030年のメディアのかたち

クラウド時代に求められる高度な情報処理リテラシー情報洪水の中で迷子にならないためには、情報の出し手と受け手の双方にクラウド時代にあった高度な情報処理リテラシーが求められると改めて思った。9月25日に30年近くに渡ってジャーナリズムの視点からデジ…

政権交代後の情報通信政策の行方 〜変化する解決すべき本質的課題

総務省は6月にICTビジョン懇談会報告書をまとめ、2015年に向けてのスマート・ユビキタス戦略を打ち出している。具体的な施策として次の5つの施策を掲げて旧政権下で取組みを開始してきた。旧・郵政省時代からの規制政策の立案からICT産業全般の国際競争力…

ソフトウェア企業の競争戦略 〜戦略的アーキテクトのために

日本は米国に次ぐ世界第二位のソフトウェア生産国であるにも関わらず、ゲームソフトを除くと海外に輸出されるソフトウェア製品は皆無に等しい。日本のIT企業ではゼネコン的なシステムインテグレーターは多数存在してもグローバルベースでビジネスとしてのソ…

Twitterの威力〜双方向な情報マーケティング・ツールとしては強力な手段

ここしばらく忙しくてブログを書いていなかった。Twitterでは色々つぶやいていたのだが、こちらに時間が取られてしまった感がなくもない。で、その断片を掲載し、改めてTwitterの威力を整理してみた。 (呟きの詳細はこちらhttp://twitter.com/murakyut)Twi…

閉塞感を打ち破るには 〜小沢一郎「日本改造計画」の実現化??

役人も責任とらないし大企業も役人と化し責任とらない。だから誰も気付かないまま衰退の道をまっしぐら・・・なんていう今の日本の閉塞感についてのやりとりがTwitterであった。日本の活力ある再生について考えてみた。 そんな中で、いよいよ衆議院選挙を明…

WISH2009の感想とWISH2010に向けての要望

21日金曜日の晩、WISH2009というITベンチャーのビジネスアイデア発表のイベントが九段下であり参加してきた。 少し色々思うところがあったので、感想をまとめておく。 WISH2009は、ウェブの未来に焦点を当てているが、通信・コンピューティング・従来型の製…

キャズムを如何に越えるか? 〜ジェフリー・ムーアに学ぶ

前回、MOTによるプロダクト・イノベーションへの手がかりを整理してみた。それは、私が、これまで何回か主張してきた、技術立国日本がやるべき「理論」「システム」「ソフトウェア」が三位一体となったソフトウェア技術の確立のための方法論を整理するた…

MOTによるプロダクト・イノベーションへの手掛かりを整理してみる〜どうすれば日本の電子情報産業が復活するか?

いよいよパラダイム・シフトに向けたプロダクト・イノベーション待ったなし クラウドコンピューティングもいよいよ本格的な事業化のフェーズに入ってきたと思う。 因みに、クラウド・コンピューティングとは、これまでのクライアント・サーバー型コンピュー…

間違ったベンチャー企業支援 〜官製VCと技術ベンチャー育成が機能しない理由

この8月中には、官製ベンチャーキャピタル「株式会社産業革新機構」が設立され本格稼動するという。これは、2006年の4月に国会で承認された改正産業再生法の中に盛り込まれた施策のひとつで、政府出資により設立され、経済産業省がロードマップおよびスキー…

オープンソース化は市場を取るための一戦略手段に過ぎず、自己の技術のデファクト化のための手段

去年の8月来、クラウドコンピューティング化の動きに伴うオープンソース化やガラパゴス化する日本製造業のソフトウェア化はイノベーションの活性化をもたらすのではないかという文脈でのブログを書いてきた。が5月末以来暫く筆を止めていた。 暫くこのブロ…

Android携帯発売の意義 〜経験価値経済への移行のカンフル剤になるか?

2009年5月19日、GoogleのAndroid携帯電話がNTTドコモから日本で発売されると発表された。 私が、10年先のICT産業の姿を追いかけようとして2008年8月1日にこのブログを書き始めた切っ掛けは、2008年7月11日のiPhoneの発売だった。その8ヶ月前の2007年11月にG…

ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える(その2)

3月20日付けのエントリー「ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える」で、2020年頃には、オープンソース化したハードウェアや開発支援ツールが製品開発のエンジンとなり、数台単位の超小ロット生産やユーザーの手元で作るパーソナルファブリケーシ…

ウェブを変える10の破壊的トレンド

創造的破壊、私が好きな言葉だ。この言葉について久々に頭の中を覚醒してくれた本が渡辺弘美著「ウェブを変える10の破壊的トレンド」。既に概略は知っていることが多かったが、押さえておくべき先端技術トレンドを気持ちを高ぶらせながら頭の中に整理してく…

日本の電子情報産業のガラパゴス化からの脱皮を考える(その2)

昨日のエントリーで新興国対応とソフトウェア化への対応が日本経済の構造的な課題だと書いた。クラウド・コンピューティングの進展はグローバル・ネットワーク経済化とシステムのオープン化を急速に促す。こうした中でガラパゴス化してしまった日本の電子情…

金融・経済の不況の嵐の最悪期は脱したようだが、今後長期的なソフトウェア化の嵐にどう対処するか?

4月は新年度入りで何かと忙しくてブログを書く時間も少なく、気がついたらGWに入っていた感じだ。どうやら3月までに金融・経済の不況の嵐の最悪期は脱したようだ 4月30日の3月の鉱工業生産指数は前月比+1.6%増と6ヶ月ぶりに前月比改善と報じられた。…

フラット化やオープン化は今の日本人にとって本当の外圧的な脅威か?

歴史小説家の司馬遼太郎のエッセイに「この国のかたち」という本がある。私は司馬遼太郎が好きなのだが、久々にこの本を手に取って見た。話は少しそれるが、少し前に、榊原英資氏がいう次のようなコメントを引用させてもらった。 「米国を見習い、これを追い…

App Storeのダウンロード数が10億件に達した

Apple社は、4月24日で、iPhone/iPod touch用アプリケーションを配布・販売するサイトApp Storeからのダウンロード本数が10億本に達したことを発表した。App Storeは、2008年7月の「iPhone 3G」発売と同時に開設されていることから、9カ月でアプリケーション…