金融・経済の不況の嵐の最悪期は脱したようだが、今後長期的なソフトウェア化の嵐にどう対処するか?

4月は新年度入りで何かと忙しくてブログを書く時間も少なく、気がついたらGWに入っていた感じだ。

どうやら3月までに金融・経済の不況の嵐の最悪期は脱したようだ
4月30日の3月の鉱工業生産指数は前月比+1.6%増と6ヶ月ぶりに前月比改善と報じられた。前年同月比ではまだ▲34.2%と生産活動が回復に向かい始めたとは言いがたいけれどもモメンタムが改善したということでは悪くはない。在庫指数も12月の前年同月比+4.8%をピークに、1月+2.8%、2月▲1.7%、3月▲4.9%と在庫調整も改善に向かっている。特に改善している業種は情報通信、電子部品・デバイス輸送機械等で中国での回復が牽引役になっている。日本経済の景気サイクルは、2009年1-3月をボトムとして景気回復局面に入った可能性が高いと思われる。

2008年10〜12月期の実質GDP成長率が前期比で▲12.1%と米国の同時期の▲6.3%と比べても落ち込み幅が大きかったのは、自動車、電機セクターを中心とした米国での消費に減少に対する加速度的な在庫と設備投資の調整が働いたものによるもので構造的な変化ではなく景気循環的な一時的な動きだったと言えるだろう。ただこれも過去の数字となりつつありマスコミ報道は後遅れ気味である。
5月1日にクライスラーチャプター11発表があった米国株式市場も堅調に推移しており、織り込み済みだ。米国株式市場に依存しがちで主体性のない日本株式市場の腰折れも限界的なものに留まりそうだ。金融・経済の嵐の最悪期はひとまず脱したようだ。

一方で構造的な課題が明らかになった新興国対応とソフトウェア化への対応
構造的な課題は、いつも景気循環などで一時的に状況が悪くなったときに認識されるもので、今回の金融・経済危機のようなことが起こると、循環的な問題と構造的な問題が渾然一体となって議論されてしまうから要注意だ。

構造的に明らかになった問題点は、繰り返しになるが、1つはサブプライム問題が象徴するような過大な借金をして不動産のような大型消費をする米国の消費構造が終わり、BRICsなど新興国が米国に取って代わって世界経済の牽引車になること、2つ目は、GoogleAmazonの取組みに象徴されるようにICTを活用したグローバルなオープン・ネットワーク経済化が一層進むと予想されることだ。

新興国時代の到来を念頭に置いたときに、豊富で低廉な労働力だけを視野に入れるのではなく、台湾のEMSに見られるような低廉かつ合理的に安く、水平分業的に大量生産・消費していく市場の特性にも目を向けた日本企業の事業展開の取組みも必要になってくる。
また、携帯電話端末の開発でハードウェアの開発費が3割に対してソフトウェアの開発費が7割と言われるように付加価値の源泉がソフトウェアにシフトしていることへの対応も日本企業への重要な対応課題だ。SaaSクラウド・コンピューティングの流れはこうしたソフトウェア技術トレンドの一端である。
日本は労働集約的なものづくりに強いといわれるが、もはや製造業自体が機械と機械、機械と人間など複雑に絡まりあうシステムの塊になっており、もはや以心伝心で町工場的な職人芸で乗り越えられる時代は終わっている。複雑なシステムを作るためのソフトウェア作りが重要になっており、そのためにはシステムへの深い理解と、目に見えないものを見通すことのできる想像力が求められているといわれている。しかも、こうしたフソフトウェア分野の供給者として中国、インドの潜在力は大きいといわれている。
100年に一度の経済不況だと報道されるようなときにこそ、こうした構造的な問題点の克服に向けた投資を冷静に行っていく時期だと思うのだが・・・
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