Morgan StanleyのネットアナリストMary Meeker 氏のネットトレンドレポート、余り新鮮味はない

10月20日にサンフランシスコで開催されたWeb2.0 SummitでのMorgan Stanleyの有力ネットアナリストMary Meeker氏のネットトレンドレポートを見た。

8つのキーテーマとして下記が挙げられており、日本のモバイル業界も参考にすればとあるが、新鮮味が感じられないのは自分だけだろうか?

  1. モバイルインターネット利用は思っていたより大きい
  2. 直近ではAppleのモバイルシェアの伸びが驚くほどに
  3. 次世代プラットフォームがコミュニケーションとコマースを変える
  4. 日本のモバイルとPCのネットが、モバイルの成長と収益化のロードマップに
  5. 3G。地域によってトレンドが違う
  6. 欧米の通信会社はネットワーク需要が高まる。ただ、経済性は疑問。
  7. 政府は進化の助けにもなり、モバイルネットの進化を遅らせることもある
  8. モバイルへのシフトが株主の資産を作ることもあり、潰すこともあり

既に3.9GであるLTEが始まろうとしている日本は、既に町中を歩いていてもモバイルを持っていない人を見かけない程のモバイル先進国。加えて、一昨年から喧伝されているクラウドコンピューティングの動き、2008年7月に売り出されたAppleiPhoneがもたらしたモバイル環境の変革、Twitterなどモバイルを活かしたソーシャルメディアの興隆。
すでに、総務省の2015年に向けたスマート・ユビキタス戦略でもネットネットワークの競争はインフラレイヤからプラットフォームレイヤーに議論が移行しようとしている。

「次世代プラットフォームがコミュニケーションとコマースを変える」とか「日本のモバイルとPCのネットが、モバイルの成長と収益化のロードマップに」と言われても今さら新鮮味は感じられないメッセージだ。

日本はモバイル先進国なのだ。
なのに閉塞感が漂い、こうしたICTプラットフォームの動きが新しい産業の牽引役になる気配は薄い。
何故か。
郵政再国営化に象徴されるような社会主義経済化が進む日本では、リスクマネーを供給する金融も銀行団を中心に保守化の傾向が強まり、ICTの成長を担うベンチャーへのリスクマネーはことごとく細ってしまっていることが挙げられる。
また、少子高齢化が進み、若手の総大数が減る中で、Twitterなどのソーシャルメディアを先導する若手の草の根活動が、中央集権的な現行の経済体制を動かすシニア層には届いていないからという気もする。
進むべき目標が分かっているにも拘わらず、その推進力に欠けていることを実感する今日この頃だ。