グローバルな投資視点の欠如が競争力の差異になっているのではないか??

競争力の差異として、技術力よりも経営力の差異が明らかになった事例がここのところ散見されたのでメモとして記録しておこうと思う。
先週にかけて7〜9月期の決算が上場各社から発表された。4〜6月期に比べれば黒字化しており、経営者もコスト削減が進み黒字化したとのコメントや、新聞報道なども業績回復への兆しが見えてきたなどとの評論が多く見られる。こうした中で、気になったのが数字の背景にある経営改善の中身だ。
7〜9月期の韓国サムスン電子の営業利益は3,260億円だったのに対して、国内大手電機メーカー9社の営業利益は合算しても1,520億円と見劣りしている。回復の力強さでは海外勢に大きく水をあけられているのだ。

この背景には技術力の差ではなく経営力の差が大きく影響していると見られる。
例えば、半導体や液晶などの部品ビジネスでは、日本企業は景気が悪化すると一斉に投資にブレーキをかけた。今年1〜3月期に見られた急速な設備や在庫調整の動きはこうした企業行動を物語っている。同時に固定費削減のために製造派遣の解雇なども急速に進められ、派遣切り問題も社会問題になった。
サムスン電子は、景気の下降局面は設備コストが下がり投資のチャンスと見て大型投資を実施し、景気回復局面では生産力でライバルに差をつけることができた。
また、グローバル展開を強く指向していることから世界シェア拡大でも飛躍ができたことが挙げられている。

日本企業は目先の業績動向に気を取られすぎているようで、中長期で経営資源をどのように配分し育てていくかとか、景気悪化の底で投資して景気良好局面で締めていくといった、一歩先を読んでリスクをとる投資経営の視点やグローバル戦略など、リスクをとったダイナミックな経営視点が欠けているように思う。
こうしたグローバルな投資視点の欠如が企業の国際競争力低下の一因になっているのではないかと思った次第。