経営戦略

2010年のM&A動向から見た2011年以降の日本産業構造の変化

2010年のM&A動向分析から、2011年以降の日本産業構造の変化を占ってみる。 アジアを中心に海外企業の買収が加速する一方で、中国企業による日本企業買収も目立った2010年2010年の日本企業が当事者となったM&Aは、円高の積極活用や財務体質改善による豊富…

 2011年の課題 〜上海からのメッセージを踏まえて

明けましておめでとうございます。 三が日は、中日の2日に深川の富岡八幡宮に初詣に行ってきました。おみくじは小吉。 運勢は冬来たりなば春遠からじ、ようやく開運のきざし見え始めたり。方針、地盤を作れ。希望、七分まで叶う。まさに今の日本経済の新年…

最近、日本経済を第三の道へ向かせようという力を感じるが着火の兆しなし

国家資本主義の足音 またまた久々のブログ更新になってしまった。8月16日付の日経新聞の1面で「官民ファンド創設へ。政府、インフラ投資促進」という記事が踊っていた。官主導で経済資源の最適配分を進めようとする国家資本主義の匂いが途上国ではない成熟国の…

iPadの衝撃よりも日本でなぜiPadが作れなかったかの衝撃?

5月28日に日本でもiPadが発売された。2008年7月11日にiPhoneが発売されてから2年弱。iPadの登場は、iPhoneの顧客資産を引き継いだタブレットPCベースで、新たなグローバルICTビジネスルールを更に変革させる第2段ロケットが発射された瞬間だったと私はみて…

脱ガラパゴス戦略と逆転のグローバル戦略

色々忙しくて、久しぶりのブログのアップになってしまった。5月28日にiPadが発売され、生活者目線から見たクラウド的サービスでは、紙の書籍、レンタルビデオ、アクトビラ(NHKオンデマンド)などが不要になる予感を高めるものになった。こうしたパラダイムシ…

アジアの時代 〜オープン型モノ作りが市場を制する

3月29日付日経ビジネスで「社外秘をなくせ〜オープン型モノ作りが世界を制する」と題した特集があった。その中でエアコン事業を行うダイキン工業が、中核技術を一定条件付きで中国エアコンメーカー・珠海格力電器(広東省)に供与して中国市場のシェア拡大し…

完全網羅 起業成功マニュアル 〜by ガイ・カワサキ氏

「完全網羅、起業家マニュアル」の著者、ガイ・カワサキ氏は、アップルコンピューターの草創期のエバンジェリストをした後、シリコンバレーで様々なPC企業をたちあげ、のちに、ベンチャーキャピタル「ガレージ・テクノロジー・ベンチャーズ」のCEOを務めてい…

起業を増やさナイト〜実践的起業セミナー報告

2月24日の18:00から、会計士の磯崎哲也氏、運用会社レオスキャピタルワークスの藤野英人氏、VC日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表の村口和孝氏の3名による起業セミナー「起業を増やさナイト」が開催された。 生々しい成功・失敗・オフレコ体験談…

ベンチャー起業家精神、ベンチャー支援に思うこと

一昨年あたりから、国内ベンチャーに逆風が吹いている。国内の年間のIPO件数は、暦年ベースで2006年の188件を最近のピークに2007年121件、2008年49件、2009年19件と激減している。一方で、海外に目を向けると中国の香港・上海・深センの3市場での2009年のIP…

逆転のグローバル戦略 〜ローエンドから攻めあがれ

今年初めの1月2日付のエントリーで、2010年は日本のGDPが中国に抜かれて世界第3位に転落する大きな転機を迎えるなど、日本企業を取り囲むグローバルな競争ルールは一変していると述べた。その中で、日本企業は、贅肉を落とした縮小均衡と新たな成長という一…

新陳代謝を促せ!〜新産業育成とベンチャーキャピタル充実の必要性

新陳代謝を促せ! 新陳代謝を促せ。1月11日の日経新聞1面のコラム「ニッポン復活の10年」の伊藤元重東大教授の論評だ。日本国内は1992年頃からほぼ一貫して供給過剰で需要が足らない状況が続いている。これだけ長期間にわたって続いているデフレを解消するに…

クリス・アンダーソン著「フリー」の注目点と2009年の回顧

2009年の回顧 ここ1ヶ月近くブログを更新しないまま、2009年末を迎えてしまった。このブログでは2008年7月のiPhone登場を切っ掛けに基本的にクラウド時代のICTを中心としたビジネスモデルのあり方をテーマとしてきたつもりだが、1年を振り返って見ると、プ…

技術力で勝る日本がなぜ事業で負けるのか?オープンイノベーションモデルを考える

以前に、ここのブログで紹介した妹尾賢一郎氏が書いた「技術力で勝る日本がなぜ事業で負けるのか」をもう一度読み下したので、概要をメモしておこうと思う。8月11日付のブログでMOTの視点から見たプロダクトイノベーションを実現するためのキャズム(死の谷…

究極のオープン・イノベーションモデルと言えるOSS需要がクラウドの爆発で喚起される

日本のゼネコン型情報サービス産業にOSS需要が風穴を開けるか? 市場規模20兆円、就労者85万人、GDPの3%強を占める日本の情報サービス産業は、垂直型多重下請け構造から水平分業・分散型への構造転換の兆しが出てきた。日本郵政やエコポイント・システムで…

オープン・イノベーションが日本企業にとって重要な理由

2009年8月7日のブログ「オープン・イノベーションへの警告」で、私は池田信夫氏の8月7日付のブログでのコメント「オープン・イノベーション化という言葉が最近、バズワード化している」を受けて、私もその通りだと思うと書いた。 この時、私自身オープン・…

グローバルな投資視点の欠如が競争力の差異になっているのではないか??

競争力の差異として、技術力よりも経営力の差異が明らかになった事例がここのところ散見されたのでメモとして記録しておこうと思う。 先週にかけて7〜9月期の決算が上場各社から発表された。4〜6月期に比べれば黒字化しており、経営者もコスト削減が進み…

政権交代後の情報通信政策の行方 〜変化する解決すべき本質的課題

総務省は6月にICTビジョン懇談会報告書をまとめ、2015年に向けてのスマート・ユビキタス戦略を打ち出している。具体的な施策として次の5つの施策を掲げて旧政権下で取組みを開始してきた。旧・郵政省時代からの規制政策の立案からICT産業全般の国際競争力…

ソフトウェア企業の競争戦略 〜戦略的アーキテクトのために

日本は米国に次ぐ世界第二位のソフトウェア生産国であるにも関わらず、ゲームソフトを除くと海外に輸出されるソフトウェア製品は皆無に等しい。日本のIT企業ではゼネコン的なシステムインテグレーターは多数存在してもグローバルベースでビジネスとしてのソ…

キャズムを如何に越えるか? 〜ジェフリー・ムーアに学ぶ

前回、MOTによるプロダクト・イノベーションへの手がかりを整理してみた。それは、私が、これまで何回か主張してきた、技術立国日本がやるべき「理論」「システム」「ソフトウェア」が三位一体となったソフトウェア技術の確立のための方法論を整理するた…

MOTによるプロダクト・イノベーションへの手掛かりを整理してみる〜どうすれば日本の電子情報産業が復活するか?

いよいよパラダイム・シフトに向けたプロダクト・イノベーション待ったなし クラウドコンピューティングもいよいよ本格的な事業化のフェーズに入ってきたと思う。 因みに、クラウド・コンピューティングとは、これまでのクライアント・サーバー型コンピュー…

間違ったベンチャー企業支援 〜官製VCと技術ベンチャー育成が機能しない理由

この8月中には、官製ベンチャーキャピタル「株式会社産業革新機構」が設立され本格稼動するという。これは、2006年の4月に国会で承認された改正産業再生法の中に盛り込まれた施策のひとつで、政府出資により設立され、経済産業省がロードマップおよびスキー…

Android携帯発売の意義 〜経験価値経済への移行のカンフル剤になるか?

2009年5月19日、GoogleのAndroid携帯電話がNTTドコモから日本で発売されると発表された。 私が、10年先のICT産業の姿を追いかけようとして2008年8月1日にこのブログを書き始めた切っ掛けは、2008年7月11日のiPhoneの発売だった。その8ヶ月前の2007年11月にG…

ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える(その2)

3月20日付けのエントリー「ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える」で、2020年頃には、オープンソース化したハードウェアや開発支援ツールが製品開発のエンジンとなり、数台単位の超小ロット生産やユーザーの手元で作るパーソナルファブリケーシ…

日本の電子情報産業のガラパゴス化からの脱皮を考える(その2)

昨日のエントリーで新興国対応とソフトウェア化への対応が日本経済の構造的な課題だと書いた。クラウド・コンピューティングの進展はグローバル・ネットワーク経済化とシステムのオープン化を急速に促す。こうした中でガラパゴス化してしまった日本の電子情…

ベンチャー事業成功の条件 〜起業の条件を考える

経済の活力の源は、個々の企業家の創造性とバタリティだと思う。大企業は知らず知らずのうちにコングロマリット・ディスカウントに陥っていて、社内調整に莫大なエレルギーを取られてしまう。そのためバイタリティがそぎ落とされたり、何が創造性の原点なの…

セカイカメラが作り出すビジネスフロンティア

AR(拡張現実)を実用化レベルまで進めた意義 少し情報としては古くなるけども、頓知・(Tonchidot)が開発した「セカイカメラ」は、AR(拡張現実:augmented reality)を実用化レベルまで進めたということ以上に、カメラと携帯の境目をなくし、携帯端末だけ…

オープンソースのAPI公開が知的創造とITベンチャーの活性化を促している

イネブラー型ベンチャーの活発なオープンソース化の動き OpenPNEという株式会社手嶋屋がオープンソース方式で開発を行ってきたSNSエンジンをご存知だろうか。OpenPNE はPCとモバイルのハイブリッドなプラットフォームに、豊富なSNS機能を搭載し、多様なサー…

ユーザー参加型製品開発が大量生産ビジネスを変える

3月23日付の日経エレクトロニクスで「ユーザー参加の開発が大量生産ビジネスに変革を迫る」という特集が気になったので思うところを書いてみる。ガラパゴス化する製造業を脱するためには、今後、企画、開発、製造のすべての段階でオープンな環境の構築が不可…

ネットにおけるブランディングを考える 〜ネット広告放送の普及を展望して

インターネットのブランド広告ネットワークのグラムメディア社の今後の成長に期待が高まっている。3月10日に、インターネット広告での世界最大の女性向け広告メディア・ネットワークの米国グラムメディアの日本法人・グラムメディア・ジャパンが動画広告サ…

ソニーのグループ事業再編発表と旧態依然としたマスコミ論調

ソニーは2009年2月27日、4月1日付でハワード・ストリンガー会長兼CEOが社長を兼務するとともに(中鉢社長は退任し2頭体制に終止符)、電機部門を大きくコンスーマー・プロダクツ・グループ(テレビ、デジタルカメラ)とネットワーク・プロダクツ&サービス…