国内識者に聞く2009年のIT大予言 〜2009年も激動か?はたまたフラストレーションの1年か?

ICT業界が大きなパラダイムシフトの中にあって,2009年のICT業界は一寸先は闇の状況にあると言っていいだろう。
前回、金融経済市場と米国中心のテクノロジー動向については、色々言及してみた。今回は、日本国内を中心とした2009年の業界トレンンドの妄想を書き出してみようと思っていたところ、日経ネット・ITプラスの2008年12月26日の特集に、「識者に聞く2009年のIT大予言-あなたの初夢は?」という特集があった。

一個人の期待だったり夢だったり、連想ゲーム的な妄想の部分もあったりだと思うけれども、あっ!これは自分も想像していた・・・なんていう現実感が結構あったりして面白い。
掻い摘んで、識者のそれぞれの予言を引用してみて、思った感想をコメントしてみる。
(原典出所: http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMIT00002022122008)

1.デジタル・メディア評論家 麻倉 怜士氏:
家庭用の3D映像システム離陸、大きさが変わる可変ディスプレーが生まれる。

・・・・う〜ん、ドラエモンの魔法の箱のような印象!麻倉さんの希望感が強いような気がします。

2.モバイルジャーナリスト 石川 温氏:
携帯電話セットメーカーの市場から撤退と販売奨励金の復活。ケータイの新しい販売方法の登場。

・・・・確かに、国内市場の携帯普及は飽和状態になっており、ガラパゴス的に世界最先端を行き過ぎている国内携帯電話メーカーは、成長ポテンシャルがある新興国では価格面で折り合わず穴埋めすることはできず、もはや事業統合による生き残りはままならず撤退もやむを得ないと思います。
あと、iPhoneやAndoroid携帯が出てきて、GoogleNokiaの戦いといったようにソフトウェア開発プラットフォーム中心のビジネスモデルにゲームルールが変わろうとしている世界市場で、日系メーカーの従来型一気通貫のモノ造り型モデルは立ち行かないような気がします。
販売奨励金モデルの停止は、総務省による官製不況を招いたとの見方もありますが、世界の携帯ビジネスモデルが変わりつつある中で、販売奨励金を復活したところで、その場しのぎになってしまうような気もします。
まさにアプリケーションサービスを含めた新しい販売方法が登場してくるかもしれない・・・
今年は、次世代携帯電話3.9Gの免許も下ろされる見込みであり、2010年以降に向けて無線LANWiMAXや次世代PHS、3.9G(LTE)のせめぎ合いの行方も混沌としてくることから、暫く携帯業界は暗雲の中を潜らなくてはならないような気がする。
http://d.hatena.ne.jp/Batayan3/20090101

3.チームラボ社長 猪子寿之氏:
任天堂が、ケータイ電話の発売を決定!

・・・・既に、任天堂電通Wii上で動画配信、「Wiiの間チャンネル」を2009年春開始と発表されているので、その延長でDSケータイが出てもおかしくないかもしれません。期待ですが・・。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081225/322038/

4.情報セキュリティ大学院大学教授 内田 勝也氏
日本版iPhoneの出現。日本語表示に十分堪えることができる640×480ピクセル以上の画面解像度を持ち、国内携帯電話の機能を備えたSuperCellphoneが発売される。

・・・・う〜ん、そうかも知れません。

5.デジタルメディア コンサルタント 江口 靖二氏
テレビ局の淘汰が進む。

・・・・マス広告の市場シェア低下に加えて、景気悪化による広告収入の大幅減少は、テレビ局の再編を促す方向性としては正しいと思います。しかしながら、時間軸を明治維新に例えれば、クラウド時代に向けたマスメディア開放までの現在の道のりは、1858年の勅許を得ないまま日米修好通商条約に調印したため起こった安政の大獄あたりではないでしょうか?明治元年が1868年なので、完全なマスメディア開放に向かうまでにはあと10年くらいかかるような気もしますが・・・
http://d.hatena.ne.jp/gatonews/20081231

6.経済評論家、公認会計士 勝間 和代氏:
ドコモがYahoo!を買収?

・・・・GoogleMicrosoftの間に挟まれて苦境に立たされているYahooですが、Yahoo日本法人はソフトバンク孫社長のお金の打出の小槌であり、これが実現するとすれば、ドコモとソフトバンク資本提携か合併・・・なんていうおまけも付いてくることになるのでしょうが、こんなシナリオが本当に実現できるやら・・・謎です!

7.富士通経営執行役 米州副総代表 加藤 幹之氏:
ITによる世界平和と民主主義の実現。

・・・・確かに、オバマ政権では、クリントン時代のスタッフが返り咲き、政府のCTO任命をはじめとした多くのIT政策が出されるようですから、ITによる経済復興、世界平和や民主主義が大きなスローガンとして実現されることは期待できるかもしれませんね。

8.慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸氏:
ニコニコ動画ミクシィを買収。日本から世界に出ていくソーシャルメディアが現れてほしい。

・・・・同感です。

9.在米ITジャーナリスト 小池 良次氏:
IPv6運用で米国政府が大トラブル。シュミット(グーグルCEO)連邦CTOが日本に救援要請。

・・・・こうしたITの国際舞台で日本が牽引者になれれば嬉しい悲鳴ですが、夢のまた夢か??

10.アント・キャピタル・パートナーズ海外投資グループ・プリンシパル 肖 宇生氏
パナソニックのさらなる買収か合弁(シャープなど)。すべての身分証明を携帯へ集約(パスポートやクレジットなど)IT分野に限って日中韓の3カ国FTA締結。チャイナモバイルとNTTドコモが業務提携、日中間シームレスに
補完性の高いWin-Winモデルを構築し欧米に対抗。

・・・・・どれも実現して欲しい希望です。

11.ゲームジャーナリスト 新 清士氏
グーグルがソニー・コンピュータエンタテインメントを買収。グーグル携帯機能を搭載した新「プレイステーション・ポータブル」の登場。

・・・・実現したら面白いですが、そのときソニー帝国は解体???

12.アジャイルメディア・ネットワーク取締役 ブロガー 徳力 基彦氏
日本発のウェブサービスが、世界中で1000万人を超える利用者を獲得。

・・・・に本のソフトコンテンツの世界進出も徐々に進むのでしょうが、大企業主導では起こりえないでしょうね。

13.ラック サイバーリスク総合研究所取締役 所長 西本 逸郎氏
トヨタとGMが合併し巨大なグローバルカンパニーが誕生する。ネット初心者用のパソコンがジャパネットから発売され大ブレークする。

・・・・ギャグ的な面白さがありますね!

14.D4DR社長/コンサルタント 藤元 健太郎
利用シーンを持たないEdyの限界が見えてきているためSuicaやカード会社によるEdyビットワレット)買収。
電子マネー、ポイントカード業界は再編が始まる年になると予想される。
相談すると自分の代わりにネットで買い物をしてくれるECショップ。
マイミクと電話帳が連動しているmixi携帯、携帯やWiMAX契約とセットになった100円自動車。

・・・電子マネー、ポイントカード業界は再編は、現実感ありありですね。
mixi携帯は??100円自動車は実現したとしたら最低20年以上は解約できないシロモノになってしまうと思います。
単なる自動車の割賦販売??

15.本荘事務所代表 本荘 修二氏:
シルバー層など誰にでもやさしいネット環境/UIの開発。音声認識のネットTVか、手書き入力/タッチコントロールの新デバイスにネット側のサービスを組み合わせたものの登場など。

・・・・・音声認識ソフトは大分普及してきましたね。ただ、使い勝手の改良にはまだ時間がかかりそうです。

以上、国内IT有識者の初夢?の中身を色々と掻い摘んで紐解いて見た。
最後に、印象としては、これらを実現しようとすると、日本のIT企業経営者、政治、関係官庁の方々においては、相当丸い頭の知恵だしと決断が求められると思います。

2009年の日本もICT分野の激動が予想されるものの、ペリー来航から明治維新まで15年かかったように、人々の意識変革にはかなりの時間を要するようです。景気悪化で縮み指向が強まる中で、結構、守旧派が幅を利かせたりでフラストレーションの1年になるかもしれないなぁというのが最後の感想。

有難うございました。よろしかったら↓こちらをクリックしてくださいね。
人気ブログランキングへにほんブログ村 IT技術ブログ IT技術評論・デジタル評論へにほんブログ村 経済ブログ 金融経済へ

拍手する