人間の心理は弱いものだ

予告があるにも関わらず大地震が起きているときは、悲嘆にくれてしまい、明日を考える余裕がなくなってしまう。特に、日本はそのような傾向が強いような気がする。でもその時に勝機があるのだ!とつくづく思う。

年末、書籍・雑誌の片付けをしていたとき、丁度1年前の日経ビジネス2008年1月7日号の景気特集やアナリストコメントを読み返してみた。

タイトルは「失われた10年に逆戻りも」とある。2007年夏にはサブプライムローン問題が明るみに出て(この時、日経平均株価は18,000円台のピークから下落)、不動産向けへの貸し渋りの動きが出ていたことから、米国の個人消費を冷やし、輸出産業に打撃を与えることが懸念されると指摘している。
しかも、当時はまだ巷では、米国経済が失速しても中国や欧州が世界経済を支えるという甘いデカップリング論がささやかれていた中で、富士通総研アナリストの何隆上席主任研究員は、「中国経済は過剰投資と過剰生産で製品価格の下落が続き、世界経済を支える力はない」と分析していたことから、日経ビジネスの景気特集の中でも2008年は米・中・欧の世界同時景気失速とドルの信認低下(ドル安)の可能性が指摘されていた。
特に、三菱UFJ証券チーフエコノミストの水野和夫氏は、2008年中に過剰な住宅抵当借入れ分ののバランスシート調整のために米国経済の成長率を急低下させ、世界の最終消費地である米国の消費低迷が世界経済を直撃し、中国の巨大生産力に支えられていた米国の消費バブルの崩壊により、2009年以降、世界的な供給過剰問題に端を発したデフレが再燃すると予想していた。

そして、昨年9月15日のリーマン・ショックにより、ものの見事に、年初の懸念が現実化し、日経平均株価も10月末には一時期7000円割れまで急落した。

さて、2009年1月5日の日経ビジネス新年特集号ではバリュー投資家ウォーレン・バフェットが語る2009年の世界経済がトピックスに挙がっている。
こうした金融市場の激変の最中、バフェット氏は、9月に米国投資銀行ゴールドマン・サックス優先株に4500億円投資、10月に米国GEの優先株に2700億円投資、その他、ダウケミカルに2700億円、チョコレート世界最大手のマーズグループに1900億円、米国で配管パイプや鉄道貨車製造を行うマーモン・ホールディングスに4000億円、米国エネルギー会社・コンステレーションエナジーグループに4200億円、中国のプラグインハイブリッド車メーカーのBYDに200億円投資しするなど、2兆円兆の投資を行っており、まだその手を緩めようとしていない。
特に、電気自動車メーカーBYD社といった中国企業への投資は初めてだ。

世の中狼狽しており、バフェット氏の投資判断は可笑しいなどとの記事が流れたりするものの、バッフェット氏の投資判断は正しい!と思う。
丁度、日本では年末から年始にかけてパナソニック(旧・松下電器産業)による三洋電機の買収が実現しようとしている。これも、まさに時宜を得た投資だ。

オバマ次期米国大統領は政策の目玉として環境ビジネスを挙げており、次世代のクリーンエネルギー対応技術の開発に対して10年間で1500億ドルを投じて500万人の新規雇用を創出すると宣言している。政府が太陽電池設置補助金を打ち切っている間に生産量でドイツに抜かれてしまった日本は、あわてて補助金制度を戻すなどの対応をしているが、原子力発電をやめて太陽光発電にすべて切り替えると宣言したドイツのような明確な技術育成政策は日本にはない。足許の景況感の悪化に慄いて、いつも通りの景気対策を唱えているに過ぎず、中長期ビジョンはない。

残念ながら、様々な技術のパラダイム・シフトが起きようとしている世界の曲がり角の中で、今の日本政府にこれを求めようとしても難しそうだし、日本の民間企業、個人が弱気を捨てて立ち向かうほかないようだ。

マイナス心理に負けるな!!が今、必要なのだと思う。

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